雲は消えては生まれ、その形や色を様々に変えることから 事が起こるきっかけ、兆しを伝えるものとして 古くから人々の関心を集めてきました。 龍や神の住処とも言われ、常識を超えた力と結び付けられた雲は、やがて良い事が起こる前兆(瑞祥)として信じられるようになります。雲の文様はこのような流れからおめでたい着物の文様として使われてきました。また、漂う姿から悠々自適な暮らしを願ったり、繰り返し沸き立つ様から輪廻転生の意味があると言われます。雲取りと呼ばれるその形は、重ねて色分けしたり、箔を貼ったりして表現されましたが,お宮参り着物やがてはその中に柄を描くようにもなります。
お宮参り初着では花々やさまざまな文様が美しく描かれており、言わば「柄の枠」として使われるのですが、ただの四角や丸でなくこうした形を使用するところに日本人のこだわり、美意識の高さが感じられると思います。他にこのような使われ方をする柄には既出の地紙(扇面)、雪輪(下記参照)などがあります
雲取りは地色と違う色(ボカシなど)を入れる時や染め分ける際の境界線としても用いられますが、同様な使われ方をする文様に「雪輪」があります。雪の結晶を図案化したもので、絞りの初着などで目にされた方も多いと思いますが、この雪輪も「枠」として頻繁に使われています。