富士山は、古くから信仰、絵画、和歌の対象、題材として多くの人に親しまれ、日本を象徴する人気のモチーフと言えます。男の子のお宮参り着物にはメイン柄として、あるいは鷹が舞う大空の背景として描かれ雄々しく男らしい柄には、何事でも日本一に、スケールの大きな人にといった願いが込められています。バリエーションも多く、染めはもちろん金彩や刺繍でも表現されさまざまなデザインが楽しめる柄です。
ここである着物作家のお話しをご紹介します。
「富士山は赤富士、逆さ富士、ダイヤモンド富士など単体でもいろいろな姿を見せてくれますが、周りの風景などとも美しいコラボを見せてくれます。ざっと思いつくだけでも海岸線と富士(三保の松原)、湖と富士(富士五湖)、雪や雲海と富士、茶畑と富士など富士山がある風景は本当に美しく、それぞれに違った魅力があります。その大きさが他の風景とのコラボを可能にしているのですが、私は富士山を調和の象徴として描きます。これを纏う人は人や社会と美しく調和し、あるいは調和させる人であり、時に周りを引立てながら自らも輝く存在でいてほしいと願っています。」
女性物の着物でしたが富士山の魅力を再認識しお宮参り着物にも込めたい想いだなと感じました。世界遺産となった富士山は人気柄となり生産数も増加しました。