男の子の着物では兜や鷹に次ぐ柄としてよく見かけます。鯉は泳ぐ姿ではなく、鯉の滝登りとして描かれることが多いのですが、これは中国の故事に由来しています。急流で名高い黄河の龍門を上った鯉はそののち龍になるとされ、いわば立身出世の象徴であり、「登龍門」の語源でもあります。
これが中国から日本に伝わり江戸時代の武家から始まった風習が、端午の節句の「こいのぼり」です。人生の試練や苦難は急流や水しぶきとして描かれています。好みのはっきり分かれる柄ではありますが、それらを乗り越え飛躍、出世してほしいという願いは男の子の親なら誰もが持つ想いなのではないでしょうか。