言うまでもなく水はすべての生命にとってかけがえのない大切なもの。 古くから文様として使われてきた理由は想像に難くないところです。 着物では水の流れを表現した流水文様が多用されています。 他の文様との組み合わせや空間を埋める描かれ方が一般的で 子供物は元より着物全般に広く重用されていますが、次のような意味合いがあるとされています。
・苦難や災厄をさらりと流す
・流れる水は腐らず常に清らか
・お浄めや火難除け など
水はさまざまな形に姿を変えます。 時には葉の上の雫であったり、せせらぎや波、大河だったり。 その姿から受ける印象、感情は大きく異なります。 大きめに描いた流水はダイナミックで力強い印象を与え 葉の水玉は凛とした静寂すら感じさせます。 決して主役にはならない文様ですが その着物が持つ印象を大きく左右する文様といえます。 流水文様の中でも観世水という柄は特に有名です。(下記画像参照) 水流と渦を巧みに図案化したものですが、能楽の観世家が広く使ったことから広まった柄です。